(3日、選抜高校野球決勝 東邦6―0習志野)
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習志野(千葉)のエース・飯塚脩人(しゅうと)君(3年)が急きょマウンドに向かった。五回、先発の山内翔太君(2年)が足に打球を受けたからだ。飯塚君はこの試合を含め、5試合すべてで2番手起用。いつものように淡い黄色のグラブをつけ、東邦打線に挑んだ。
グラブは、1学年上で昨夏のエース、佐藤将聖(まさきよ)さん(18)から3月、卒業式の朝に譲り受けた。「耐雪梅花麗」(雪に耐えて梅花麗し)と刺繡(ししゅう)が入っている。「将聖さんと共に戦わせてください」
今大会、習志野はしぶとい戦いを続けた。2回戦から準決勝まで逆転で勝ち上がった。先発の後に控える背番号1の飯塚君も、佐藤さんの思いを胸に好投し、準決勝までの4試合で1点しか許さなかった。
そして決勝、五回無死一塁での登板。バントで進塁を許したが、次打者を空振り三振に。次は飯塚君が「一番警戒する打者」と名を挙げていた3番石川昂弥(たかや)君。「どうにかして抑えたい」。そう話していたが、本塁打を浴びた。八回にも石川君の右翼線二塁打をきっかけに追加点を許し、優勝には届かなかった。
試合後、「佐藤さんに報告しますか?」と報道陣に問われた。「しないです。日本一をとってこいと言われて、とれなかったので」。「夏こそ報告を?」という問いに、こくりとうなずいた。(松山紫乃、角詠之)