ヒトの細胞を使った心臓を3Dプリンターで製作することに成功したと、イスラエルの研究チームが15日、科学誌に発表した。血管まで備えた心臓の製作に成功したのは世界初という。「10年後には患者に移植できるようにしたい」としている。
発表したのは、テルアビブ大学のタル・デビール教授(生命工学)らのチーム。教授らは心臓血管に疾病を持つ患者の脂肪細胞を使い、あらゆる細胞に分化できる幹細胞を作製。細胞の塊などでできた「バイオインク」を作製し、3Dプリンターで心臓の形に積み重ねていった。プリンターは自動制御で細胞を組み立て、3~4時間で完成させる。
完成した心臓は、大きさ1センチほど。心臓の周囲には主要な血管も再現されている。今後は培養で組織の成熟を促し、電気信号を与えて拍動させることが目標。その後、動物実験で実際の心臓移植を目指すという。
心臓移植をめぐってはドナーが…