本庶佑(ほんじょたすく)・京都大特別教授らが発見し、ノーベル賞につながったたんぱく質「PD―1」が持つ、免疫に関わる新たな仕組みを、徳島大学の岡崎拓教授(免疫学)らが突き止めた。自己免疫疾患の治療法の開発につながると期待される。19日付の米科学誌サイエンスに発表する。
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PD―1は、体を外敵から守る免疫が過剰にならないよう、免疫のブレーキ役になるたんぱく質。主ながん免疫療法は、このブレーキをわざと妨げ、がん細胞を免疫で攻撃する。PD―1は通常、体に有益な免疫を妨げないが、詳しい仕組みは謎だった。
研究チームはワクチンに対して、免疫細胞のT細胞が反応する仕組みを調べた。すると、PD―1のブレーキを動かすスイッチとして働くはずのたんぱく質「PD―L1」が、別のたんぱく質「CD80」と結合し、ブレーキがかかっていないことがわかった。
そこで、「PD―L1」と「CD80」が結合できないマウスを遺伝子操作で作ると、免疫のブレーキが強く働いた。このマウスに、免疫の過剰反応で起きる自己免疫疾患をわざと引きおこそうとしたところ、症状が軽かったという。(鈴木智之)