旧ソ連のウクライナで、政治経験ゼロのコメディータレントが劇場型戦術で現職を破り、21日の大統領選を制した。人口4400万、国土の広さで欧州連合(EU)最大のフランスをもしのぐウクライナ。当選確実となったボロディミル・ゼレンスキー氏(41)は「みんなで権力機構の刷新を」と訴え、経済停滞や政治の汚職に不満を募らせた有権者の心をつかんだ。
当選を確実にした21日夜の記者会見で早速、「渋滞を引き起こす(大統領の)車列はやめたい」と発言。人気のテレビドラマ「国民のしもべ」で演じる庶民感覚の大統領を連想させた。
ドラマの中の「大統領」は元は普通の歴史教師だった。教室で生徒に腐敗批判の熱弁を振るう姿がSNSで拡散し、ほとんど偶然のように大統領に選ばれた。
現実には2018年末に立候補表明。今年3月末の第1回投票でトップになり決選へ進むと、現職のペトロ・ポロシェンコ大統領(53)を世論調査で終始30ポイント以上リードした。
選挙期間中、ドラマの新シリーズの放映が始まった。「規定外の選挙運動では」と物議を醸したが、ドラマと現実が同時進行するような異例の選挙戦となった。
「ショーマン」の本領を発揮し…