業績不振が続く大塚家具の大塚久美子社長が26日、経営権を巡って激しく対立した創業者で父の大塚勝久氏と面会した。父娘の再会は「お家騒動」以来、4年ぶり。久美子氏の主導で同日設立された家具業界の団体への協力を求めるための訪問だったが、父娘が和解に向かい、経営面の協力につながるか注目される。
久美子氏はこの日午後5時半過ぎ、勝久氏が立ち上げた高級家具販売「匠(たくみ)大塚」が27日にオープンする予定の新店「匠大塚青山」(東京都渋谷区)を、勝久氏が好きだという真っ赤なバラを抱えて訪問。勝久氏と5分ほど立ち話を交わした。
大塚家具への資金支援をとりまとめたネット通販企業ハイラインズの陳海波社長が、久美子氏に勝久氏との和解を促していた。久美子氏は3月の記者会見で「愛着のある家具を提供したいという価値観は(父と)全く同じ」と語り、価値観を共有する家具メーカーなどと新たな団体をつくる構想を示していた。
父娘は4年ぶりの再会後、別々に記者団の取材に応じた。久美子氏によると、久美子氏の主導で26日に設立された新たな団体、「スローファニチャー」の会の名誉会長への就任を勝久氏に打診したという。勝久氏によると、その場で受諾はしなかったが、協力する姿勢を示したという。久美子氏は「会社は競合しているが、根底にある家具への考えは同じ」と話し、大塚家具の経営に対して勝久氏のアドバイスを受けることはありうるとした。一方、勝久氏は大塚家具の経営難の状況を踏まえ、「昔の大塚家具に戻して考えてみるべきだ」と話した。
久美子氏は、今後経営面で勝久氏と意見を交わすことも示唆。協業が実現に向かう可能性も出てきた。勝久氏は面会前の朝日新聞の取材に対し、両社の取引先企業の多くが重なっているとしたうえで、「(両社の)株の持ち合いによる提携もあるかもしれない」と述べた。(神沢和敬、筒井竜平)
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