損害保険会社による2018年度の自然災害(風水害)の保険金支払額が、過去最高の1・6兆円になった。日本損害保険協会が20日発表した。近年多発する自然災害で、損保各社は10月から火災保険料を値上げする。この値上げは18年度の災害分を織り込んでいないため、家計の負担増は今後も続く恐れがある。
損保協会によると、18年度の支払額は前年度比8・4倍の1兆5694億円。直近で多かった04年度の約7400億円の2倍超で、調査を始めた1970年度以降最大。愛知・大阪・京都・兵庫などで被害が出た昨年9月の台風21号(支払い保険金1兆678億円)、東京・神奈川・静岡などを襲った台風24号(同3061億円)の影響が大きかった。
都道府県別にみると、大阪が最多の6105億円。京都836億円▽兵庫781億円▽岡山770億円▽愛知719億円▽東京644億円が続いた。
業界大手の東京海上ホールディングス(HD)は保険金支払いが膨らみ、20日発表した19年3月期決算が減益に。藤田裕一専務は「自然災害の被害の見積もりが増えた影響が大きい」と話した。
風水害の多発で、損保各社の火災保険の収支は悪化している。加入者から集めた保険料収入全体に占める保険金支払額の比率(損害率)は、90年代半ばに約53%だったが、17年度は約62%まで上昇。損保大手各社が20日発表した18年度の損害率は60%台後半まで上がった。
このため、各社は10月に火災保険料を引き上げる。上げ幅は地域によって異なるが、東京海上日動と損保ジャパン日本興亜は全国平均で6~7%、三井住友海上とあいおいニッセイ同和は同7%ほど。大手損保の試算によると、木造戸建てなどと比べて保険料が安いマンションの場合、東京20%、大阪12%、福岡46%と大幅に上がる見込みだ。各社とも、自然災害の多い九州地方などでの上げ幅が大きくなるという。
こうした上げ幅は昨年度の災害…