温泉地として人気が高い箱根山(神奈川県箱根町)の噴火警戒レベルが2(火口周辺規制)へ引き上げられ、19日で1カ月になる。小規模な噴火が起きた4年前と比べ、火山活動は低調とされるが、引き下げの見通しは立っていない。
気象庁は5月18日、箱根山で前日はゼロだった火山性地震を43回観測。翌日未明、警戒レベルを2に引き上げた。3月中旬からマグマや熱水の蓄積による山の膨張を観測していたことも考慮した。火山性地震は同19日、74回を数え、町は温泉や黒たまごで知られる大涌谷への立ち入りを禁じ、箱根ロープウェイは全線運休となった。
日本列島は火山が多い。世界の約7%にあたる111の活火山が集中し、特に活発な50火山を24時間態勢で監視している。同庁は2007年、火山のリスクを5段階で示す噴火警戒レベルの仕組みを導入。50火山のうち45火山で運用している。今月17日時点で、レベル2は箱根山のほか、阿蘇山(熊本県)や草津白根山(群馬県)など5火山。レベル3(入山規制)は桜島(鹿児島県)のみで、残りの39火山はレベル1(活火山であることに留意)となっている。
ではレベルの上げ下げは何を根拠に決めているのか。実は判定基準は火山の特徴(過去の噴火歴など)や周辺環境(居住地域との距離など)に左右され、火山ごとに異なっている。変わることもあり、草津白根山は6月、新たに得られた観測データを基に、三つの峰のうち一つで基準を見直した。15年6月に小規模な水蒸気噴火が起きて一時、レベル3となった箱根山もこれまでの経緯を踏まえ、新しい基準に改めている。
箱根山の今後の見通しはどうなっているのだろうか。
レベルの引き下げには、火山性…