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7時間の練習、今では午前中で終了 時短で動きが機敏に

練習時間の長さと強さは比例する――。当たり前だったこの考え方が見直されつつある。北海道と道教育委員会は1月、部活動が長時間に及ばないよう、休養日や活動時間の基準を設定。各校は練習時間を短くしようと取り組み始めている。


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今月9日、江差町で江差・上ノ国の連合チームとの練習試合に臨んだ奥尻のベンチで、井上暁史監督は驚いていた。「カバーリングも走塁も、動きが速くなっている。練習の時短に取り組んだ成果なのか」


奥尻は昨年度まで平日に2時間半、休日は7時間練習していた。休日は午後になると雰囲気がだらけ始め、井上監督は選手の間延びした表情が気になっていた。ちょうど「練習時間を短縮しても成果を上げられる」という新聞記事を読んだこともあり、休日の「時短」を試み始めた。


「午後までやっていたメニューを、午前中だけでできるようになりなさい」。3月下旬、選手たちにそんなミッションを与えた。マネジャーが練習時間を計り、タブレット端末に記録。練習後のミーティングでは、どうすれば短くできるかを話し合った。


「バスから降りたら全力ダッシュ」「前日にメニューを考え、朝のミーティング時間を廃止」「ノック時間を半分にして、内野と外野を分けて同時に行う」などなど。選手たちの意見を取り入れて工夫を凝らし、今では午前中に終えられるようになったという。


満島塁主将(3年)は「練習中もてきぱき動くので、守備の動きも素早くなったと思います」。マネジャーの川田蓮(れん)さん(2年)も「これまでは午後のために体力を残そう、という気持ちもあったと思う。今は午前だけでも充実した練習ができている」と感じる。


練習試合で奥尻は15―9で連合チームに勝利した。井上監督は「選手の集中力を長時間継続させるのは難しい。これからは練習時間が短くても成果を上げられるチームが上位に行くのでは」と話す。


道と道教委は、平日の部活動は長くとも2時間程度、休日は3時間程度を「基準」とした。学校設置者の自治体や学校法人がこの基準を踏まえて方針を策定し、各校が運用する。


一方で実力校からは、道と道教委が示す一律の時短は「実情と合っていない」という声も出ている。


東海大札幌は平日は片付けを入れて4時間程度、土日は5~10時間程度練習する。大脇英徳監督は「長時間練習しても、何も考えずに体だけ動かしていてはうまくはならない。大切なのは自信や満足感だ」と時短の流れに理解を示す。ただ、「走攻守の練習をする野球は、どうしても長時間になる。満足感を得るためには、ある程度の練習時間は必要ではないか」


連合チームにも時短は受け入れがたい問題だ。月形、砂川、夕張の連合チームは校舎が離れているため、合同で練習できるのは雪が溶ける4月以降の週末だけ。「土日の練習時間を制限されると連合チームは実質練習ができなくなる。単独チームとの差がどんどん開いてしまうのでは」と、夕張の高橋浩幸監督は不安に思う。


長時間の練習による選手の負傷が問題になっていることも理解している。だが、高橋監督は「野球の初心者には早めに声をかけて休ませるなど、個々の生徒の状態を見てあげるしかないのではないか」と考える。(遠藤美波)


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