(7日、高校野球神奈川大会 金沢6―1津久井浜)
ニュースや動画をリアルタイムで!「バーチャル高校野球」
「3年間、嫌なこともあったけど、続けてきてよかったな。でも、勝ちたかったよな」。津久井浜の高畑空選手(3年)は、涙を抑えられないチームメートの頭を抱き、語りかけた。
1年のときから夏の大会で投げ、「それがおごりになっていた」。「やらされている」意識でいるまま、2年でも夏のマウンドに上がり、結果は金沢相手にコールド負け。悔しさに「何かを変えなきゃダメだ」と、避けてきた自主練習を始めた。
バーベルを持つスクワットは、50キロから130キロまでになった。食べる量も増やし、60キロを切っていた体重は73キロに増えた。中学のときからのチームメートである楯航太朗選手(3年)らと、昼休みなど短い空き時間も惜しんで練習した。
昨秋の県大会では、16強まで勝ち上がる中で、球速も140キロ近くまで上がり、打たせて取るだけでなく三振を取る直球への信頼も増した。「何かを変えれば変わるんだと実感した」
だが、昨夏と同じ相手と対戦したこの日、初回に四球でピンチを招くと、自分の投球を見失い、ストライクを取りに行った直球を運ばれた。でも、楯選手らに「肩の力を抜け」と励まされ、走者を出しながらも、終わってみれば4被安打、12奪三振と持ち味を出した。守りのミスが出ても「切り替えろ」と声をかけた。
「自分が努力している間、金沢の選手も努力していたということ。1、2年の間に同じ努力をしていれば」――。それでも、この日の舞台は一生忘れられない経験だ。「勝利への貪欲(どんよく)さは見てくれたはず」と、後輩に夢を託した。(木下こゆる)