第101回全国高校野球選手権群馬大会は7日、上毛新聞敷島球場などで1回戦8試合があった。シード校の桐生第一が17安打の猛攻で藤岡中央にコールド勝ち。春4強の樹徳も西邑楽との接戦をものにした。一方で、群馬大会で過去9回優勝している前橋工が高崎北に逆転負けし、初戦で姿を消した。
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春夏合わせて甲子園13回出場の伝統校・前橋工が、2009年以来10年ぶりに初戦で姿を消した。
断続的な霧雨は、勝った高崎北の校歌が流れる頃、大粒の雨に。仲間が泣いたり肩を支え合ったりする中、主将の小暮杏介(3年)は空を見上げ、足早にベンチへ戻った。「まだ分からないんです。試合は本当に終わったのかなって」。取材にも笑顔を作って気丈に振る舞った。
高崎北は昨秋、今春ともに強豪私学に初戦コールド負け。部員数は前橋工の半分ほど。だがこの試合、積極的に振っていく思い切りの良さが目立った。「このゲームは予想していなかった。見事に打たれた」と前橋工の五十嵐卓也監督。
前橋工が2点リードで迎えた四回裏、2番手の布施匠冴(しょうご)(2年)が4連打を浴び、歯車が狂い始めた。捕手の小暮には、1死満塁で継いだ佐藤祐(たすく)(2年)に緊張の色が見えた。「球が浮いてるぞ。ワンバウンドでいいから低く」。グラブを地面に2度、たたきつけた。「守備の時、自分だけはみんなの方を向いているから」と、心がける笑顔と声掛け。ただ、この日は流れを断ち切れず、押し出しの四球で追加点を許した。
昨夏は2年生で唯一のレギュラーだった。だから分かる。「夏の大会は『変な雰囲気』がある。ピンチには相手の応援歌がすごく大きく聞こえる」。今年のチームは下級生が中心。「夏を経験している自分が、みんなにその雰囲気を伝えきれなかったかな……」。小暮は後悔を口にし、後輩にあとを託した。
前回の初戦敗退の翌10年は準優勝。01年、最後に夏の甲子園に出場したその2年前も、初戦敗退だった。伝統校の火は簡単に消えないと信じて。(山崎輝史)