従来の工場から無人工場に舵が切られることにより、作業員も成長している。瞿副董事長によると、以前は流れ作業という体力仕事をしていた作業員は今、ロボットの管理という技術者になっている。「作業員の仕事はそれほどきつくなくなり、仕事内容も単調ではなくなった。そして、給料も大幅に増加したため、作業員の仕事に対する積極性も向上した」。
開能健康の無人工場は、上海に数多くある無人工場の一つに過ぎない。
上汽通用(上海汽車とGMの合弁企業)によると、同社のキャデラック工場の車体工場にはロボットが567台あり、車体の連結などが100%自動化している。
将来を見据えた上海の計画
上海は無人工場の建設の面で壮大な計画を立てており、「ガイドライン」は、無人工場、無人生産ライン、無人作業場を100ヶ所以上設置し、ハイエンド装置、自動車、航空・宇宙飛行、バイオ医薬、電子情報、鋼鉄・化学工業などの業界のスマート化モデル転換を加速させたい考えだ。フレキシブル生産やクラウド製造、シェアリング製造など新製造スタイルに焦点を合わせ、フレキシブル生産能力やデジタル化を下支えする基礎を強化し、速やかに生産能力を高める計画だ。その他、自動感知、自動コントロール、自動決定、自動実行などの機能を備えたスマート製造機構、工業ロボット、倉庫ロボットなどの研究開発を加速させ、自動ロボットの推進、応用を強化し、スマート多層シャットルカーシステムを発展させる計画だ。
万博新経済研究院の滕泰院長は取材に対して、「上海が無人工場の発展に大々的に力を入れようとしているのは、今後の産業のモデル転換・高度化について正確な判断をしているからで、将来を見据えた戦略的計画」と分析している。
復旦大学管理学院の蘇勇教授は取材に対して、「今回、新型コロナウイルス感染流行が突然生じたことと、これまで企業にとってまだまだ遠い先にあることと捉え、積極的に採用することはしていなかった新技術や新たな作業スタイルをこの『ガイドライン』が一気に現実化させたことで、企業はモデル転換により変化することを緊急で求められている」との見方を示した。
滕院長と蘇教授は、「無人工場は今後の製造業の発展の主なトレンドになる」と声を揃える。
滕院長は、「今回の感染状況により、多くの人が無人工場のメリットを目にすることになった。第5世代移動通信システム(5G)、ビッグデータ、クラウドコンピューティングなどの技術の発展は既にかなり成熟するようになっており、無人工場の技術を発展させるための準備も整ってきている。今後、無人工場が続々と登場するのは必然的な流れで、多くの欧米諸国も少しずつ無人化を推進している。中国の製造業は今後、無人工場発展のコマンディングハイツを何としてでもゲットしなければならない」との見方を示した。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年4月23日