「中国風」マニアたちの舞台になったビリビリ
近年、中国の古い時代を舞台にした歴史ドラマや、仙人や侠客を主人公にしたドラマやゲームなどが一世を風靡し、「国風(中国風)」が若者の間でポップカルチャーとなり、特定のサークルもできている。例えば、漢服サークルが次々に登場し、歴史ある街並みが残る観光地では、漢服を着た女性たちが歩く姿をよく目にするようになった。また、「中国古典音楽」も若者に大人気のジャンルとなっている。ネット上では、中国古典音楽歌手が続々と誕生し人気を集め、彼らは一般的にはほとんど知られていない歌手がほとんどだが、ネット上では100万人以上のフォロワーを抱えているケースも多い。
2019年、ビリビリの中国風マニアの数は8347万人に達し、その83%が24歳以下だった。今年1‐3月期、ビリビリの中国風の動画投稿数は前年同期比124%増、中国風のうp主の数は同比110%増に達した。うち、「中国古典音楽」、「伝統文化」、「民族音楽」、「舞踊」などのワードが入った動画の投稿数が顕著に増加している。
今年3月末、中国青少年ニューメディア協会は、ビリビリと共同で第3回中国華服デーオンラインパーティーを開催。中国共産主義青年団中央はビリビリのプラットフォームでそれを初めから最後までライブ配信した。ビリビリは、730分のライブ配信と320分の録画番組を準備した。
同イベントでは、うp主「古琴診所」(上海自得琴社)がユニークな民族音楽のパフォーマンスを披露。古風な中国画を背景に、中国の伝統衣装を身にまとった若者らが、「七子之歌」の演奏を披露し、中国画の中の楽器演奏者が蘇ったような雰囲気を作り出した。「古琴診所」はこれまでにも中国装束再現グループとコラボし、ドラマ「長安十二時辰」の挿入曲を演奏する動画を投稿し、ビリビリや微博(ウェイボー)、YouTubeなどのプラットフォームで再生回数が合わせて5000万回以上に達した。YouTubeでは、ロシアやフランス、ブラジル、クロアチア、日本などからフォロワーが集まっている。あるネット上からは、「ポスト李子柒(リー・ズーチー、中国の人気ビデオブロガー)」との声も寄せられている。
「古琴診所」のメンバーのほとんどは80後(80年代生まれ)と90後だ。メンバーの一人・唐彬さんは、「子供の頃から、フルートを習っていた。でも、それは親にさせられていただけで、好きではなかった。高校生だったある時、映画『英雄』の中で、囲碁会館で登場人物が古琴を演奏しているシーンがあって、それを見て感じるものがあった。その後、授業をさぼってこっそり古琴を習いに行くようになり、今では古琴の先生になった。自分が好きな古琴を演奏するというのは、親にやらされているのとは違う」と語る。