ここしばらく、米国の一部の政治屋を始めとする外国人が感染症を利用して中国を「濫訴」している。中国はいかにして法律を武器に自国の合法的権益を守るべきかが、今年の全国両会(全国人民代表大会・全国人民政治協商会議)で非常に注目された。中国新聞網が伝えた。
会期中、全人代代表を務める北京市社会科学院法学研究所の馬一徳研究員は提案で、外国主権免除法の制定を急ぎ、中国の国家及び公民・法人の権益をしっかりと守るよう呼びかけた。この提言を受けて、北京代表団の代表のうち35人以上が署名して大会に議案を提出した。議案はすでに大会議案チームが受理し、専門委員会での検討にまわされた。
■外国主権免除法とは何か
馬氏によると、国家主権免除の原則は現代国際法の重要原則であり、国家行為と国際関係の調整において重要な役割を果たしている。経済発展に従い、国家は国際的な民事・商事交流への関与が増え、一国の政府と他国の法人・自然人との間の国際的な民事・商事紛争が増えた。このため世界の多くの国々は外国及びその財産の国内における起訴と被起訴に関する専門の法律を制定している。これは外国主権免除法だ。
「より分かりやすく言うと、中国が外国主権免除法を制定すると、中国国民は中国の裁判所で外国の政府またはその代表を起訴できるようになる」と、外交学院国際法学部准教授の王佳氏は言う。
■法律制定の必要性はどこに?
現代世界で国際交流が深まり続け、グローバル化が加速するに伴い、国家はすでにグローバルな経済・貿易活動に頻繁に関与しており、これによりもたらされる衝突と摩擦も激増している。専門家は、こうした中、外国主権免除法制定の必要性は明らかだと指摘する。
馬氏は「中国は現在も依然として外国及びその財産の絶対的免除という一般原則に従っている。中国の当事者は国内の裁判所で他国への訴訟を提起することはできない。これは訴訟コストをかさませ、中国の当事者の合法的権益がしっかりと保障されない事態も招いている。現在世界の経済環境には大きな変化が生じている。中国は今後の発展の中でさらに多くの国家主権免除の問題に遭遇し、かつ主権免除解決の方法についてさらに高いレベルの要求をすると予見できる」と指摘する。
中国国際法学会理事、浙江工商大学法学部副学部長の宋傑氏は「外国主権免除法が未制定だと、中国は法的レベルで他国の『濫訴』行為に有効に対処するにも、受動的な立場に置かれることがより多くなる。中国の外国主権免除法の制定は、主導性の観点から言って積極的な考慮に値する。少なくとも法的レベルで主導的拮抗を形成できる」と指摘する。
また、法律は明確な指針と予測の作用を備え、人の行為に直接作用するため、有効に社会関係を調整し、社会秩序を安定させる。馬氏は「明確で整った外国主権免除法は中国にいる外国の投資家に明確な予期を与え、経済分野で中国政府と紛争が生じた際に順調に司法ルートを通じて救済を得られることを保証する」と例を挙げる。(編集NA)
「人民網日本語版」2020年5月28日