小澤氏によると、「中国は目下、国内の大きな循環を主体としつつ、国内と国外の2つの循環が相互に作用し合う新たな発展局面の構築を加速させている。こうした過程で、中国国内の大きな循環の主体的な地位を強化することは、中国市場の巨大なポテンシャルをよりしっかりと発掘することにもなり、また外資系企業により多くの『中国のチャンス』をもたらし、より多くの海外企業の投資、先端の製品、先端の技術の輸入を誘致することにもなる。これと同時に、2つの循環の新たな発展局面の構築は外資系企業の参加と切り離せないものでもある。2つの循環の新たな発展局面の最終的な目標は、中国経済の質の高い発展を実現することであり、こうした過程の中でより質の高い海外企業の投資、技術、人材などの資源を誘致してその実現を推進することが自ずと必要になる。そのため、中国が目下、質の高い対外開放の取り組みを強化していることは、キャノンをはじめとする外資系企業にとって長期的な好材料になる」という。
東芝:ポストコロナ時代の世界経済発展には中国市場の牽引が必要
人件費の上昇にともなって、将来、中国の「世界の製造センター」の地位が他の国に取って代わられてしまうのだろうか。
株式会社東芝の宮崎洋一中国総代表は、「そうは思わない」とした上で、「多くの国の共通認識はチャイナプラスワンだ。どの国も国家戦略という点から考えると、あらゆる期待をどこか1つの特定の国に託してしまうのは、経営の視点から見るとリスクがあるが、中国は必ず選ばれる」と述べた。
宮崎氏は、「多国籍企業にとっては、どこかの地域のサプライチェーンに問題が起これば、このチェーンの製品の供給が断たれ、別の地域で戦略的なバックアップを行うことになる。日本のメーカーなら、リスク回避のために中国ともう1つ別の国を選ぶことになる。例えばベトナム、ミャンマー、バングラデシュなどの国だ。しかし中国は不要だと言い、中国以外の国だけに頼ることは不可能だ。米国のメーカーなら中国とメキシコを選択するだろう。これが穏当で安全な選択だからだ。しかし中国の地位が他国に完全に取って代わられることは、あまり可能性はないだろう」と述べた。
また宮崎氏は、「現在、グローバル経済は引き続き感染症に苦しめられている。中国は世界の主要国の中で一番最初に新型コロナの影響から抜け出し、一番最初に回復への道を踏み出した。世界経済の発展はこれから相当長い間、中国市場によって牽引されることになるだろう」と述べた。