英国放送協会(BBC)の報道によると、ある国際チームの研究で、中国の森林の二酸化炭素(CO2)吸収量の世界への寄与が過小評価されていたことが判明した。
10月28日に学術誌「ネイチャー」に掲載されたこの報告によると、研究者は現地調査と人工衛星写真に基づき中国の森林地帯を観測した結果、2地域で新たに植樹造林された森林のCO2吸収量が過小評価されていたことが判明した。
研究チームによると、実際には、この2地域だけで、中国のCO2の吸収量が排出量を上回る場所「カーボン・シンク」の35%超を占めていた。その2つの「カーボン・シンク」は、中国の西南地域と東北地域だ。
これまで過小評価されていた2つの「カーボン・シンク」のうち、西南地域は雲南省、貴州省、広西壮(チワン)族自治区で、東北地域は主に黒竜江省と吉林省となる。
中国の植樹造林により驚くほどのCO2が吸収
この2地域では、造林・緑化面積が急速に拡大している。これらの省では急速、かつ大規模に造林する取り組みが実施されており、過去10年から15年の間に、省級森林面積が毎年4万から44万ヘクタール増加した。
西南地域の陸地生物圏は中国で最も大きな「カーボン・シンク」で、中国のカーボン・シンクの31.5%を占め、他の地域をはるかに上回っている。東北地域の生物圏は、季節性があるため、中国のカーボン・シンクの4.5%を占めている。
同研究の共同著者である英エディンバラ大学のポール・パーマー教授は、「中国のカーボン・シンクの規模に驚く人もいるだろうが、分析結果は信頼できる」と説明する。
そして、BBCの取材に対して、「大胆な科学的報告には、大量の証拠の裏付けが必要だ。それを今回の研究で実現した。地上と人工衛星のさまざまな証拠を集め、中国のカーボン・サイクルについて一貫性のあるしっかりした論を構築することができた」とした。
中国のCO2排出量は、世界が排出するCO2の28%を占めているものの、2060年までにCO2排出量と除去量を差し引きゼロにする「カーボン・ニュートラル」を実現する計画だ。
世界の緑化に中国が多大な寄与
中国の「カーボン・ニュートラル」の目標は、世界のカーボン・シンクや気候変動をめぐる問題において非常に重要な意味を帯びている。
2019年、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、「20年前と比べると、世界では緑地がどんどん増えている。この変化促進のうえで、中国は重要な貢献をしている」との見方を示した。
NASAの地球衛星データによると、中国とインドの植樹造林や農業活動などが、地球の緑化を主導している。
中国の緑化帯は、世界の緑化を主導する主なパワーで、世界の植被面積に占める割合は高くないものの、増加ペースは世界一となっている。(編集KN)
「人民網日本語版」2020年11月25日