世界同時多発テロから11日で丸4年となり、ニューヨークの世界貿易センター跡地では追悼式典が行われました。
11日朝から行われた式典では、例年通り、犠牲者2749人の名前が読み上げられ、旅客機の激突、ビルの倒壊の時刻にあわせて黙祷が捧げられました。
毎年、テロとの戦いへの決意を新たにし、愛国心一色に染まるこの式典ですが、今年はこんな発言が飛び出しました。
「ブッシュ大統領、正しい選択をして兵士を撤退させなさい」(息子を亡くした母親)
同時テロをきっかけに開始された対テロ戦争ですが、式典に参加した遺族たちが、批判の声を上げ始めています。
「皆、テロを心配して生活を変え、イラクでは人々が殺されています。これは喜ばしいことではない」(式典に参加した遺族)
「逆に恐怖が増した気がします。身の回りに気をつけるというか、旅行も安心してできない」(式典に参加した遺族)
また、ニューヨークのブルームバーグ市長はスピーチの中で、ハリケーン「カトリーナ」の災害で亡くなった犠牲者にも言及しました。
しかし、このカトリーナの災害を巡っては「被災者支援よりも、対テロ戦争を優先させているのではないか」、ブッシュ政権に対して、そんな批判も出ています。
そのためか、ブッシュ大統領はホワイトハウスで同時テロの犠牲者に黙祷を捧げた後、式典を見守ることなく、直ちに被災地の視察に出かけました。
同時テロの後、世界はどのように変わったのか。9月11日は犠牲者への追悼や愛国心だけでなく、そうした疑問を再び問い直す日となっています。