携帯電話事業への参入を目指す通信ベンチャーのアイピーモバイルが30日、2ギガヘルツ帯の周波数割り当てを総務省に申請した。同日の締め切りまでに申請したのは、1.7ギガヘルツ帯のソフトバンク、イー・アクセスと合わせ3社。06~07年度に新規参入する計画で、実現すれば既存の大手3社がシェアを分け合う携帯電話市場の寡占が崩れる可能性がある。ただ、新規参入組は資金調達面などで課題も抱えている。
◇資金調達に課題も
ソフトバンクは、音声、データ通信とも07年末までに始める予定。孫正義社長は「新しい市場を掘り起こす」とともに「既存の事業者からシェアを奪い取る」と話す。
イー・アクセスは07年3月ごろ、主要都市でデータ通信を始め、その1年後に音声通話も始める予定。アイピーモバイルは当初、データ通信に絞って06年10月から東名阪地域で運用を開始。10年度までに全国展開するという。
8月末の携帯電話契約数は全国で8883万件あり、シェアはNTTドコモ56.0%、KDDI(auとツーカー)27.1%、ボーダフォン16.9%。しかし、06年秋には、契約する携帯電話会社を替えても番号が変わらない「番号ポータビリティ制度」が導入される。低料金や新サービスを掲げた新規参入が加われば、シェアが一気に変動する可能性もある。
一方、新規参入への総務省の審査では、財務状態が重点の一つ。アイピーモバイルは30日、CSKなど4社から8億7500万円の出資を受けると発表したが、400億~600億円と見込む資本金の調達は「メドがついている」としただけで具体的に明らかにしなかった。ソフトバンクが設備投資の負担をメーカーに委ねる方式を取る点も、慎重に審査される見込みだ。【位川一郎】
<既存事業者の契約数>
NTTドコモ 4978万(56.0)
KDDI・au 2054万(23.1)
〃・ツーカー 353万( 4.0)
ボーダフォン 1499万(16.9)
※8月末現在、カッコ内はシェア%
<新規事業者の契約数の目標>
ソフトバンク 数年以内に1000万件
イー・アクセス 5年間でシェア10%
アイピーモバイル 08年に140万件
ソフトバンク
http://www.softbank.co.jp/
イー・アクセス
http://www.eaccess.net/
アイピーモバイル
http://ipmobile.jp/