【ワシントン和田浩明】ブッシュ米大統領は7日、危機的なレバノン情勢打開のため、イスラエル軍とイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラに「敵対行為の全面停止」を求める米仏提案の国連安保理決議案の早期採択を目指す姿勢を強調した。大統領はレバノンなどが求めるイスラエル軍の即時撤退の盛り込みには否定的な見方を示したが、同席したライス国務長官は修正に応じる可能性も示唆しており、即時停戦を拒否していた米国の姿勢に軟化の兆しも見える。
夏休み中の大統領はこの日、米南部テキサス州クロフォードの私邸兼牧場で記者会見し、レバノン問題への対応を説明した。前日のハドリー大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、ライス長官の会見に続くもので、政権全体として外交的解決を目指して積極的に取り組んでいる姿勢をアピールした。
大統領は一連の戦闘が始まった当初、「永続的な平和の枠組みが必要だ」と主張して即時停戦は支持しない方針を鮮明にした。7日の会見でも「問題の根源はヒズボラであり、支援するイラン、シリア」との認識自体は変わっていない。
その一方で、米仏案を基に実際の調整作業を行うライス長官は「関係国の意見を聞き、対応方法を検討したい」と発言し、妥協の余地があることをにおわせた。
毎日新聞 2006年8月8日