【カイロ高橋宗男】レバノン政府は7日、イスラエル軍のレバノン南部からの撤退後、ただちに1万5000人規模の国軍部隊を南部に派遣することを閣議決定した。AP通信が伝えた。レバノンは、イスラム教シーア派民兵組織ヒズボラとイスラエル軍の停戦に向け米仏が提示した国連安保理決議案に「イスラエル軍の即時撤退」の明記を求めるなど修正要求を出しており、国軍展開の決定は修正に向けた布石とみられる。
国軍展開の決定には、ヒズボラ系の閣僚2人を含む全員が賛成。ヒズボラが治安権限を握ってきた南部をレバノン政府が管理する意思と能力を内外に示し、決議案の修正に道を開きたいとの思惑があるとみられる。兵員確保のため予備役兵の招集も決定した。
一方、イスラエルはヒズボラ軍事部門の武装解除について、レバノン政府には履行能力がないと批判してきた。レバノン政府とすれば、ヒズボラが事実上支配してきた南部に国軍を展開することで、政府主体のヒズボラ武装解除への意思を示し、イスラエルをけん制する狙いもある。
毎日新聞 2006年8月8日