景気の低迷が続くアメリカでの年末商戦の話題です。今年は少し変わった販売方法が広がり始めています。キーワードは「シークレット」=「秘密」です。
華やかなイルミネーションとは裏腹に、消費の低迷が続くアメリカ。これを打破しようと、あるネット企業がこんな手法を取り入れ始めました。
こちらのインターネットサイトでは、決められた時間内でしか買えない年末セールを行っています。ただ、セール開始まで1時間を切りましたが、まだ商品の中身や価格が明らかにされていません。
セール開始までのカウントダウン。数字がゼロになって初めて商品と値段が表示されます。これはアメリカのオンライン小売大手「アマゾン」が年末商戦用に始めた「シークレットセール」と呼ばれる手法です。
アメリカでは今この手法が広がりつつあります。直前まで、何がいくらで買えるか分からない「シークレットセール」。消費者にとっては不親切にも見えますが、オンラインショップだけではなく街中の小売店でも、この手法が広がっています。
「(Q.シークレットセールとは?)お客さんを引き入れるために値下げを当日まで告知しないのです。実は(取材にも)価格のことはコメントできません。企業として私たちは競合他社との値下げ争いにはとても積極的になっています」(米小売大手『ベストバイ』店員)
激化する値下げ競争の中、ほかのライバル店には手の内を知られたくない。「シークレットセール」はギリギリまで価格を隠すための苦肉の策なのです。
「失業が増えて収入も減って、消費者の持っているお金というパイ全体が小さくなっています。小さなパイを奪い合うためには、やはり値下げという手法が一番消費者の目に訴えるやり方だと思います」(三菱東京UFJ銀行ニューヨーク支店 勝藤史郎 チーフエコノミスト)
去年の年末商戦の売り上げは金融危機から陥った不況の影響で、過去40年で最悪。今年は景気回復が遅れる中、小売店にとっては、まさに生き残りをかけた戦いです。しかし、消費者側の財布のひもは依然固く、1人当たりの出費は、今のところ減少傾向です。
「この経済状況だから多くの人が出費に気をつかっていると思うよ」(消費者)
今回、小売店が繰り出した新たな販売作戦。アメリカの個人消費を再び呼び起こすことができるでしょうか。(03日18:08)