国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門を巡り、国が開門を求める漁業者に昨年7月から支払っている制裁金が10日、総額1億円を超えた。開門のめどは立たず、支払額は今後も膨らみ続ける見通し。
制裁金は福岡高裁確定判決が命じた開門の義務を履行しない国に対し、佐賀地裁が昨年4月、1日当たり49万円(9月から45万円に減額)の支払いを命令。農林水産省によると、国は毎月、1カ月分をまとめて漁業者側に支払っており、10日付の1月分(1395万円)で、計1億530万円となった。
一方、長崎地裁は2014年6月、開門した場合に開門反対派の営農者らに1日49万円を支払うよう国に命令。最高裁は佐賀地裁と長崎地裁の決定をともに支持し、国は開けても開けなくても制裁金を支払う板挟み状態となっている。
西川公也農相は10日の記者会見で「開門か、開門しなくていいのか、(係争中の訴訟の)最高裁の判断を待って対応を考えたい」と述べた。