【ワシントン=川合智之】一部閉鎖が危ぶまれていた米国土安全保障省の暫定予算の期限切れ問題で、米議会下院は3日、9月までの予算案を可決した。上院も既に通過しており、オバマ米大統領の署名を経て成立する見通し。野党・共和党はオバマ大統領の移民制度改革に反対するため予算を盾にけん制していたが、結局は妥協に応じた格好だ。
共和党は1月、改革を阻止する条項を盛り込んだ国土安保省の2015会計年度(14年10月~15年9月)の予算案を下院で可決した。ただ上院では与党・民主党の反対で通過の見通しが立たず、共和は改革阻止条項を除いた9月までの予算案を可決した。
一方、下院共和党は妥協を拒否し、3週間の暫定予算延長を採決したが共和保守派が反対に回り否決。延長期間を1週間に短縮して予算切れ2時間前の2月27日夜に可決。さらに今回、党内保守派を抑えて9月までの予算案も可決した。
共和が改革阻止条項をあきらめ妥協案で決着したのは、テロ対策などを担う同省が予算切れで一部閉鎖すれば米国民の批判を浴びると判断したためだ。共和が連邦債務上限の引き上げを拒否して13年10月に政府機関が一時閉鎖した際には、政治空転を招いたとして有権者の支持を失った。