小本川沿いの岩手県岩泉町門地区に住む佐々木修子さん(61)の自宅は1階に濁流が流れ込んだ。直前に避難し、夫も無事だったが「片付けようがない」と立ち尽くしていた=1日午前10時40分、福留庸友撮影
台風10号の豪雨に、岩手県岩泉町の住民らは日常を突然に奪われた。夫を失った女性は「信じられない」とつぶやき、グループホームにいて犠牲になった母に1日、対面を果たした男性は涙を流した。孤立状態が続く地区の住民らは、物資の不足を訴えている。
1階が流され土台だけ残った家、川岸に流れ着いたバスタブやタンス。岩手県岩泉町が唯一、避難勧告を出した安家(あっか)地区には台風の激しい爪痕が残る。周囲の道路が寸断されて孤立状態になった住民は避難所に身を寄せ、「食料が足りない」と訴えた。
中川原照男さん(63)は8月30日、町から避難を促す電話を受け、午後3時に孫の颯春(そうしゅん)君(9)、妻のトモさん(56)と近くの安家生活改善センターへ避難した。雨風で寒く、他の避難者約40人と和室の一室に固まっていたという。
午後8時ごろ、水がセンターの…