経団連の米倉弘昌前会長(住友化学相談役)は23日午前、都内で日本経済新聞などの取材に応じ、シンガポールのリー・クアンユー元首相の死去を受け「シンガポールやアジアだけでなく、世界のリーダーをなくした」と哀悼の意を表した。「国民をもっと豊かにしようと考える、情熱にあふれた本当の意味での政治家だった」とたたえた。
米倉氏はリー氏と1970年代に会ったエピソードに触れ、「『(独立当初のシンガポールで)約250万人の国民の生活をいかに保障していくかを本当に悩んだ』と涙を浮かべて語っていたことが印象に残っている」と話した。住友化学は同国初の石油化学コンビナートを建設し、リー氏とは個人的にも親交があった。
また「リー氏はシンガポール経済に大きな貢献を果たした。IT(情報技術)や医療など生産性が高い分野を伸ばしていこうという意欲に満ちていた」と語った。