【フランクフルト=加藤貴行】フランス南東部の旅客機墜落で、墜落機の運航会社の親会社である独ルフトハンザは3月31日、故意に墜落させた疑いを持たれている副操縦士がうつ病だったことを会社側に伝えていたと発表した。会社側が副操縦士の病歴を把握しながら乗務をさせていたことになり、管理体制や責任が問われるのは必至だ。
ルフトハンザによると、アンドレアス・ルビッツ副操縦士(27)は同社傘下のパイロット養成の航空学校に所属し、2009年に一時中断を経て訓練を再開する際、以前に深刻なうつ病を患っていたことを電子メールで学校に報告していた。同社は独検察当局にも関連資料を提出した。
ルフトハンザはその後、副操縦士が乗務に適格との医師の証明を確認し訓練を再開。副操縦士は試験に合格し13年9月に採用され乗務を始めた。
ルフトハンザは3月26日の記者会見で、副操縦士が訓練を一時中断したことに触れたが理由は説明していなかった。また、副操縦士の精神疾患の病歴は把握しておらず、墜落当日も乗務に問題はなかったとしていた。
ただ今回、副操縦士本人から航空学校に重要な情報を報告していたことを認めたことで、ルフトハンザがグループ内で副操縦士に関する情報の共有や健康管理をどう進めていたのかが問われることになる。
一方、フランス公共ラジオによると、墜落現場の捜査関係者は31日、「もう遺体は残っていない」と述べ、遺体収容作業が終わったことを明らかにした。