空き家の3分の2(68.9%)が現在の耐震基準がなかった1980年以前の建物であることが国土交通省の調査で分かった。老朽化した空き家を放置すれば倒壊などのリスクもある。国交省は空き家対策を一段と強化する考えだ。
国土交通省が2013年12月時点の状況について、約8万5000世帯(回収率89.2%)を対象に調べ、住生活総合調査(速報)をまとめた。
空き家の建築時期を見ると、「1970年以前」が44.5%で首位、「71年~80年」が24.4%で続き、耐震基準を強化した81年より前の建築が合計68.9%となった。富士通総研経済研究所の米山秀隆上席主任研究員は「旧耐震基準で建築された空き家は市場価値の低さなどから放置されるケースが多い」と話す。
調査では空き家の管理は「自分や親族が定期的に管理」が40.6%と比率が最も高いが、「ほとんど何もしていない」が25.6%で続いた。
今年2月に一部施行した空き家対策の特別措置法は5月下旬に全面施行となる。国交省は倒壊の恐れがある「特定空き家」と判断する基準案を今月中旬に公表した。これを参考に市町村が認定すれば、除去や修繕を命令でき、行政が代わりに執行することもできる。
国交省は21日、今後10年の住宅政策を定める「住生活基本計画」の見直し議論を始めた。空き家の所有者と不動産業者をつなぐ情報照会の仕組みや用途転換の推進などが論点となる。来年3月の閣議決定をめざす。