ティラノサウルスに代表される獣脚類の仲間でありながら、草食とみられる新種恐竜の化石を南米チリで発見したと、チリ大学などのチームが27日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。獣脚類はほとんどが肉食で草食は珍しいという。
化石は、チリ南部にある約1億5千万年前のジュラ紀の地層から出土。子供から成体まで5体以上あり、体長は1.2~3.2メートルと推定された。首が長いのが特徴で、頭は小さいが上下に長くて前後に短い。先端が平らにすり減ったしっかりした歯が付いており、草食の竜脚類や鳥盤類によく似ていた。
チームは、この恐竜の化石を7歳のときに見つけたディエゴ・スアレスさんにちなんで「チレサウルス・ディエゴスアレツイ」と名付けた。
真鍋真・国立科学博物館グループ長によると、獣脚類が草食に適応したのは、ジュラ紀より新しい白亜紀に植物が多様化したことと関連するという見方がある。真鍋さんは「ジュラ紀にしっかりとした歯で草食化したものがいたことは興味深い」と話している。〔共同〕