【シドニー=高橋香織】オーストラリアのアボット首相は2日、国籍を偽るなど不動産を違法に購入した外国人への罰則を厳しくする方針を表明した。議会に法案を提出し、12月の施行を目指す。中国人の居住用不動産投資が急増し、シドニーやメルボルンなど都市部では住宅価格が上昇している。持ち家を購入できない国民の不満を和らげる狙い。
法案では、違法に住宅を買った外国人投資家に最大12万7500豪ドル(約1200万円)の罰金か、最長3年の禁錮刑を科す。企業の場合は罰金を最大63万7500豪ドルとする。違法取引に関わった不動産会社など第三者にも新たに罰金を設ける。
豪外国投資審査当局は中古の住宅物件に関し、豪州国民か永住権を持つ人だけが購入できると定めている。外国人は新築物件なら購入できる。しかし、今年3月にシドニーの豪邸を巡る中国企業の違法購入が明るみに出るなど、審査体制の緩さが問題となっていた。
今後は外国人の居住用不動産への投資に関する審査業務を国税当局に移管し、監視体制を強化する。関連費用は住宅を購入する外国人投資家に課す手数料でまかなう。