参院法務委員会で、性犯罪を厳罰化する刑法改正案が全会一致で可決された=16日午前11時49分、越田省吾撮影
性犯罪を厳罰化する刑法改正案について、参院法務委員会は16日、全会一致で可決した。同日中に参院本会議に緊急上程され、成立する見通しだ。「共謀罪」法案より先に提出されていたが、審議が後回しにされ、一時は今国会での成立が危ぶまれていた。
110年ぶりの法改正なるか 性犯罪厳罰化の刑法改正案
改正案では、強姦(ごうかん)罪を「強制性交等罪」に改め、「加害者は男性、被害者は女性」とされていた部分は性別の規定を撤廃。法定刑の下限を懲役3年から懲役5年に引き上げる。強姦罪や強制わいせつ罪などに問うために必要だった被害者の告訴を不要にする。
また、親などがその影響力を利用して18歳未満の子どもに性的な行為をした場合に、暴行や脅迫がなくても罪に問える「監護者性交等罪」を新設する。
一方、現行法では強姦罪の成立には被害者の抵抗を著しく困難にする「暴行または脅迫」の立証が必要で、被害者団体が撤廃を求めていたが、この規定は改正法でも変わらない。
16日の参院法務委では、中学時代から7年間、父親によるわいせつ行為の被害を受けた山本潤さん(43)が参考人として出席。「性暴力の本質は人をものとして扱うこと。私の場合、刑法は守ってくれなかった」と訴えた。山本さんは2年前から、当事者の声を改正案に反映させようと主要政党や法務省に意見を届けてきた。「法改正が加害者の適正な処罰につながり、社会の関心が広く性被害の実態に向くようになればと願う」と話した。(小松隆次郎、志村英司)