【ニューヨーク=高橋里奈】国連本部で開催中の核拡散防止条約(NPT)再検討会議は8日、核軍縮の合意文書の素案を加盟国に配布した。素案はオーストリアが主導する核兵器の禁止を求める取り組みについて「歓迎する」とした。核兵器の削減から一歩踏み込み、廃絶に向けた動きを促した形だ。だがこうした表現は核保有国の反発も予想され、最終文書でどこまで踏み込むのかは予断を許さない。
オーストリアは核兵器の非人道性を訴え、核兵器の禁止を求める宣言を昨年末に発表。現在までに約80カ国が賛同、新たな機運となっている。オーストリアは核禁止に向け法的枠組みを整備する必要があるとNPT再検討会議で訴えている。
再検討会議の核軍縮に関する専門委員会議長がまとめた文書の素案には「核兵器がもたらす悲劇的な結末を深く憂慮する」と盛り込み、核廃絶に向けた国際社会の動きに同調した。核軍縮が進まないことに不満を持つ非保有国から核廃絶の声が強まっていることに配慮した形だ。