シリアでアサド政権による化学兵器使用が疑われているなか、河野太郎外相が22日からの主要7カ国(G7)外相会合で、化学兵器の使用者を特定するための国際的な枠組み設置を提起することがわかった。国連安全保障理事会での設置に向けて、河野氏は各国に働きかける考えだ。外務省関係者が明らかにした。
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日本政府は、国連や化学兵器禁止機関(OPCW)と連携し、警察関係者ら法執行や化学、医療の各分野の専門家らを構成メンバーに想定する。河野氏は17日の参院外交防衛委員会で「化学兵器が使用された場合の使用者の特定のための何らかの国際的なメカニズムが必要だ」と強調した。
提起する背景には、米英両国などと異なり、化学兵器の使用に関する独自の情報収集ルートや知見が乏しいことへの危機感がある。米英仏3カ国がアサド政権の化学兵器使用を断定して「政権の化学兵器関連施設」へのミサイル攻撃に踏み切った際、安倍晋三首相は「米英仏の決意を支持する」と表明したが、「日本としては化学兵器の使用を確認できていない」(外務省幹部)状況だった。
シリアでの化学兵器使用疑惑を調べていた国連と化学兵器禁止機関の共同調査メカニズム(JIM)は、国連安保理でロシアが拒否権を行使し、昨年11月に廃止された。日本政府は枠組みに実行力を持たせるため、安保理での設置を目指すが、アサド政権を支援するロシアの賛同も必要。そこでG7外相会合などの場で米英仏の理解を得た上で、ロシアなどに根回しすることを検討している。(清宮涼)