気象庁によると、29日午前9時59分ごろ、鹿児島県屋久島町の口永良部島の新岳で爆発的噴火が発生した。噴火に伴って火砕流が発生し、火口から約2キロ先の海岸まで達した。同庁は噴火警報を発表し、噴火警戒レベルを現在の3(入山規制)から最も高い5(避難)に引き上げた。
総務省消防庁は全島民の無事を確認したとしている。屋久島町は午前10時すぎ、全島に島外への避難指示を出した。鹿児島県によると、男性(72)がやけどを負ったため、防災ヘリコプターで屋久島に搬送した。
政府は同日午前、首相官邸内の危機管理センターに対策室を設置。被害状況などの情報収集を急ぐ。安倍晋三首相は住民の安全確保などの対応を指示した。
口永良部島民は23日時点で141人。菅義偉官房長官はこのうち、120人が避難所に避難したことを明らかにした。鹿児島県からの自衛隊の派遣要請に基づき、派遣規模を調整中だという。
噴煙を上げる鹿児島・口永良部島=29日午前10時8分、鹿児島県屋久島町(水中写真家・高久至さん撮影)
気象庁によると、火口からは噴煙が噴き出し、一時火口から9千メートルの高さに達した。火砕流は新岳から西方向に流れ、火口周辺に噴石が飛び出したことも分かった。屋久島でも降灰が予想されている。
同庁が2007年に警戒レベル導入後、最高の5に引き上げたのは初めて。気象庁は29日記者会見し、「さらに大規模な噴火に移行する兆候はないが、今後も同程度の噴火が起こるおそれがある」と説明。マグマが関わった噴火の可能性が高いとみて解析を進める。
口永良部島では昨年8月3日に34年ぶりに噴火が起き、気象庁が警戒レベルを3に引き上げた。火口周辺で入山が規制されていた。