米国とキューバの外交関係の改善の影響が葉巻ケースや灰皿にも及んでいる。米国で販売される高級葉巻の3分の1近くが、程なくキューバ産になることが見込まれるのだ。
葉巻を吸うキューバの占師=AP
米国は世界最大のプーロス(高級葉巻)の市場であり、年間3億本の葉巻が消費される。しかし、半世紀以上の間、コイーバ、モンテクリスト、ロメオ・イ・フリエータなど高く評価されるブランドのキューバ産葉巻の輸入・販売は厳しく禁止されてきた。
米・キューバ両政府は2014年、国交を回復することで合意したが、連邦議会はまだ禁輸措置を解除していない。
米政府は1月、個人旅行者に対して100ドル相当を上限としてキューバ産葉巻の持ち込みを認めた。たばこ業界の幹部らが期待する全面開放への第一歩だ。
■スペインのたばこ会社が重要な役割
この大きな商機の見通しは、英インペリアル・タバコ・グループ傘下でスペインのたばこ会社タバカレラを特に喜ばせるものだった。
タバカレラは15年前、キューバの国営葉巻輸出企業コルポラシオン・アバノスの株式資本の50%を取得した。同社はその後、世界150以上の国々で、キューバ産葉巻のマーケティングと販売において重要な役割を果たしてきた。
そこに世界の高級葉巻の売り上げの3分の2を占める米国がとうとう市場に加わったのだ。マドリードを拠点とするタバカレラのフェルナンド・ドミンゲス会長は「キューバ産たばこの議論の余地のない評価や数々のブランドからなる特有の品ぞろえを考えれば、アバノスは3年ほどで米国の葉巻市場で20~30%のシェアを獲得できると思う」と述べた。
同氏は、キューバを訪れる米国の旅行者が増加したことからキューバ国内では既に葉巻の売り上げが増加しているとし、「数字自体はまだ大きくはないが、アバノスが米国で受け入れられる兆候だ」と述べた。
タバカレラの例は、特にキューバへの最大の投資者であるスペインを拠点とするビジネスに対し、米国の外交方針の転換がいかに予想外の好機を生み出しているかを浮き彫りにしている。
たばこ以外では、スペインの観光業・レジャー事業も既にキューバでの足場を確立しており、米国からの訪問者の流入の恩恵にあずかることを期待している。
両国間の貿易関係を強化する目的で、スペインのデギンドス経済・競争力相は7月にハバナを公式に訪問する。ある政府関係者は「キューバには機会が開けており、我々にも同様だ」と述べた。
米国では、ケネディ大統領が禁輸措置法案に署名して法を成立させた1962年からキューバ産葉巻の売買は禁止されている。葉巻好きの大統領は、職員がワシントン中のタバコ店をめぐってお気に入りのキューバ産葉巻を1200本集めるまで署名を保留したという。
By Tobias Buck
(2015年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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