【ニューヨーク=高橋里奈】米南部サウスカロライナ州チャールストンの教会で17日夜(日本時間18日午前)、銃撃事件が発生し9人が死亡した。警察当局によると容疑者は21歳の白人の男で、18日午前に逮捕された。黒人に対するヘイトクライム(人種や宗教を動機とする犯罪)の可能性が高いという。米国社会が抱える根深い差別問題が改めて浮き彫りになった。
逮捕されたのはディラン・ルーフ容疑者。事件が起きたのは黒人が集まるエマニュエルAME教会。米メディアによると17日午後9時頃、男が教会内で発砲した。事件後に容疑者は逃走したが、ノースカロライナ州で拘束された。同教会は奴隷解放運動との関係も深い。
犠牲者は女性6人、男性3人で、教会の牧師である民主党のピンクニー州上院議員も含まれていた。
警察当局は事件後の記者会見で「ヘイトクライムだと信じている」と述べ、人種差別に基づく犯行との見方を示した。チャールストンのライリー市長は「言語に絶する信じられない行動だ」と非難した。
サウスカロライナ州では4月初旬、白人警官が丸腰の黒人男性を射殺。黒人に対する警察の暴力的な対応が社会問題に発展した。米国社会では人種や所得階層などでの分断が進みつつある。今回の事件も対応を誤れば政権の求心力を損なう結果になりかねない。