スズキは30日、鈴木修会長兼社長(85)が7月1日付で社長を退任し、鈴木俊宏副社長(56)が社長に昇格する人事を固めた。修氏は会長兼最高経営責任者(CEO)に就く。長男である俊宏氏への交代により若返りを図る。独フォルクスワーゲン(VW)との提携解消交渉の長期化が経営に影響を及ぼしていることにけじめをつける狙いもあるとみられる。新たに中期経営計画を策定し、5年後に売上高で約3兆7千億円を目指す。
鈴木俊宏氏
人事と中期経営計画を30日午後に発表する予定。修氏は前社長の体調不良により、2008年に社長を兼務した。俊宏氏はこれまで経営企画や海外部門を担当しており、最高執行責任者(COO)を兼務する。
修氏はスズキを世界的な自動車メーカーに育てた。会長として引き続き社長を補佐するほか、提携や海外戦略などを担当する見通しだ。新体制では俊宏氏が中心となって国内の軽自動車事業に加え、インド、東南アジアなど新興国市場の一段の開拓を進める。
スズキはVWと出資を含めて09年に包括提携したが、その後暗礁に乗り上げ、11年に国際仲裁裁判所に解消を申し入れた。社長兼務体制を続けてきたが、仲裁が約3年半と長期化している。
中期経営計画では15年3月期に3兆円強だった売上高を約7千億円増やすほか、売上高営業利益率を6%から7%に高める方針。
鈴木 俊宏氏(すずき・としひろ)83年(昭58年)東京理科大院修了、日本電装(現デンソー)を経て94年スズキ入社。03年取締役。11年副社長。静岡県出身。