国税庁は6日、全国の国税局が2014年度に強制調査(査察)で摘発した脱税事件は180件(前年度比5件減)で、加算税を含む脱税総額は約149億円(同5億円増)だったと発表した。悪質として検察庁に告発した件数は112件(同6件減)。告発率は62.2%だった。
摘発、告発件数はいずれも1970年度以降で過去2番目に低い数字となった。同庁査察課は「査察に着手した時期がリーマン・ショックなどのため景気が低迷した時期だったからではないか」と説明している。
告発事件1件当たりの脱税額は1億1000万円。35年ぶりに1億円を下回った前年度から1100万円増えた。告発事件を業種別でみると「不動産業」が16件で最も多く、「クラブ・バー」の10件、「建設業」の8件が続いた。
脱税事件として起訴され、14年度中に一審判決が言い渡されたのは98件。うち96件が有罪判決で、11人が実刑判決を受けた。無罪判決が2件あり、国税側が控訴した。
一方、14年度に着手した査察の件数は194件(前年度比9件増)で、5年ぶりに増加した。経済状況の好転が背景にあるとみられる。