親の育児休業取得を理由に、保育園に通う0~2歳児を原則退園させる埼玉県所沢市の運用で、8月末で退園処分となった女児の母親(30)が求めた処分の執行停止をさいたま地裁が認めたことについて、同市は8日までに、即時抗告をしないと明らかにした。
女児はすでに保育園に戻っており、市側代理人の青木一男弁護士は記者会見で「市の制度に問題はないと考えているが、子供に配慮した」と説明した。
地裁は9月29日付の決定理由で、父母の体調不良などを踏まえ、在園継続を「必要性がないと断ずることはできない」と指摘。女児の退園は不利益処分に当たるとし、行政が当事者から意見を聴く聴聞手続きがなかったことを「違法とみる余地がある」と判断した。
これに対し市側は、不利益処分ではないとして、行政手続法に沿えば聴聞は必要ないとの考えをあらためて示した。
所沢市の本田静香こども未来部長は「制度の根幹が否定されたわけではない。今後も適切な制度運用に努めていく」と話した。〔共同〕