【NQNニューヨーク=神能淳志】11月30日のニューヨーク外国為替市場で円相場は3日続落した。前週末比25銭の円安・ドル高の1ドル=123円05~15銭で取引を終えた。新たな取引材料に欠くなか、ドルが対ユーロで上げたため、対円でもドルを買う動きが優勢となった。
欧州中央銀行(ECB)は12月3日の定例理事会で追加の金融緩和策を決めるとの見方が根強い。半面、米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は3日の議会証言で12月の利上げ開始に向けた理解を求めるとみられている。週内は欧米の金融政策の違いが意識されやすく、対ユーロでのドル買いが対円にも及んだ。
国際通貨基金(IMF)は30日の理事会で中国の人民元を特別引き出し権(SDR)と言われる準備通貨に加えると決めた。新たなSDRでは人民元の割合が1割近く占め、ドルやユーロに次ぐ大きさになる見通し。
人民元の組み入れでドルの割合はほぼ維持され、ユーロなどの比率が減るとみられているため、発表直後にユーロ売りが加速する場面もあった。しかし「既に予想されていた話」(邦銀の外為ディーラー)として相場全体を方向付ける材料とはならなかった。
シカゴ購買部協会が発表した11月の米景気指数(PMI)は前月から低下し、市場予想を下回った。10月の米仮契約住宅販売指数もわずかな上昇にとどまったが、市場では米景気回復の基調変化を映すものではないとの受け止めが多く、相場の反応は限られた。
円の安値は123円34銭、高値は123円ちょうどだった。
円は対ユーロで6日続伸した。前週末比10銭の円高・ユーロ安の1ユーロ=130円00~10銭で終えた。
ユーロは対ドルで3日続落し、前週末比0.0025ドル安い1ユーロ=1.0560~70ドルで終えた。ECBが週内にもマイナス金利の拡大などの追加緩和を決めるとの思惑がユーロ相場の重荷となった。
IMFが人民元の準備通貨組み入れを発表した直後にユーロは一時1.0558ドルと4月14日以来およそ7カ月半ぶりの安値を付けた。人民元の加入に伴いユーロの構成割合が最も低下するとみられ、思惑的な売りが広がった。
この日のユーロの高値は1.0585ドルだった。