安倍晋三首相は4日午前、首相官邸で年頭にあたって記者会見し、今夏の参院選の獲得議席目標について「自民、公明両党で過半数を確保したい」と表明した。憲法改正については「参院選でしっかりと訴えていく。国民的な議論を深めたい」と選挙戦を通じて理解を求める考えを示した。経済運営を巡っては「デフレ脱却は残念ながら道半ばだ」と指摘した。
記者会見する安倍首相(4日午前、首相官邸)
首相が参院選の獲得議席の目標に言及したのは初めて。参院で自公両党は現在、過半数の122を上回る計135議席。このうち非改選は76議席で、今回の参院選で46議席を確保すれば過半数を維持できる。
参院選の争点に関しては「3年間の安倍政権の実績に対する評価や一億総活躍社会について国民の審判をいただきたい」と語った。参院選に合わせて衆院解散・総選挙に踏み切る衆参同日選挙については「全く考えていない」と述べた。
4年目に入ったアベノミクスには「経済最優先で取り組み、もはやデフレではないという状況を作り出した」としつつも「まだデフレ脱却というところまで来ていない」と語った。「賃上げ、設備投資による好循環を力強く続けられるかにかかっている」と経済界の協力に期待を示したうえで「政府・日銀一体でデフレ脱却に取り組んでいく」と言明した。
今年の内政・外交運営は「挑戦、挑戦、そして挑戦あるのみ。未来へと果敢に挑戦する1年にする」と強調。5月に日本が主催する主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の議題として世界経済やテロとの戦い、貧困や開発、アジア太平洋情勢などを列挙し「グローバルな視点にたって適切な道筋を示し、世界をリードしたい」と語った。
ロシアとの北方領土交渉では「首脳間のやり取りなしには解決できない」としたものの、懸案のプーチン大統領の来日時期については「最も適切な時期を引き続き探る」と述べるにとどめた。
4日召集された通常国会では「補正予算によってロケットスタートを切る」と2015年度補正予算案の早期成立をめざす考えを示した。野党には「対案をぶつけ合うような建設的な議論を期待したい」と呼びかけた。