【北京=共同】中国を訪問しているケリー米国務長官は27日、北京の中国外務省で王毅外相と会談した。4回目の核実験を強行した北朝鮮に対する国連安全保障理事会の追加制裁決議について直接協議。石油禁輸を盛り込んだ決議を求める米国と、厳しい制裁に難色を示す中国が歩み寄れるかが焦点だ。
ケリー氏は会談冒頭で北朝鮮の核開発について「世界の安全保障にとっての重大な挑戦だ」と述べ、解決策を見いだす必要性を強調した。
外交筋によると、オバマ米政権は石油禁輸などを盛り込んだ制裁決議の草案を関係国に既に打診。中国は「国民生活への影響」を理由に反発しており、交渉が長期化する恐れが出ている。
ケリー氏は北朝鮮の核開発阻止のため、影響力を行使するよう中国に促す構え。だが、南シナ海情勢をめぐり米中関係が緊張する中、王氏ら中国側はケリー氏との会談で厳しい対北朝鮮制裁に慎重な姿勢を貫く可能性が高い。
会談では中国が南シナ海で人工島を造成し、軍事施設の建設を進めている問題も議題になる見通し。ケリー氏が人工島の「軍事化」に懸念を表明するのに対し、王氏は「主権の範囲内」などと正当化するとみられる。
台湾総統選で独立志向の野党、民主進歩党(民進党)が8年ぶりの政権奪還を決めたことを受け、中台関係について議論するほか、中国で悪化している人権問題も話し合う。
両外相は会談後、共同記者会見を開催。ケリー氏は27日午後、楊潔篪国務委員とも会談する。