日銀金沢支店が1日発表した3月の企業短期経済観測調査(短観)は、業況判断指数が全産業でプラス8と3期ぶりに悪化した。製造業で化学や電気機械、非製造業は小売りや宿泊・飲食サービスが落ち込んだ。先行きも全産業でプラス2と悪化する。同支店は「企業に(景気の先行きについて)慎重な見方が広がっている」と指摘した。
業況判断指数は景況感が「良い」と答えた企業割合から「悪い」と回答した企業の割合を差し引いた値。調査は2月25日から3月31日に実施。同支店では全産業のプラス8という結果について「リーマン・ショック直前の(景気拡大期の)最高値だった06年12月のプラス7より高い」として景況感が大きく悪化している認識はないと述べた。
製造業の現状はプラス10と1ポイント悪化した。業種別では、化学が医薬品の薬価改定による受注単価の下落で26ポイント下げてプラス5、電気機械がパソコン向けの部品受注の伸び悩みで13ポイント悪化のプラス6だった。
非製造業は8ポイント下げてプラス8だった。小売りが暖冬による冬物衣料の伸び悩みなどで24ポイント悪化してマイナス17、宿泊・飲食サービスはプラス41と高水準ながら北陸新幹線の開業効果の一服で25ポイント下がった。
先行きは製造業がプラス4と6ポイント、非製造業がゼロで8ポイント悪化する。化学は後発医薬品の需要拡大、小売りは新車の供給台数が増える自動車販売の好転で改善する。一方、バスを中心とする輸送用機械、不動産、宿泊・飲食サービスなどは悪化する。