航空自衛隊のU125飛行点検機が墜落、搭乗隊員とみられる6人が死亡した事故は13日で発生から1週間。現場付近には当時、雲がかかっていたとみられるが、飛行に影響があったかどうかは不明だ。機長は経験豊富なエースパイロット。「一体何が起きたのか」。空自は遺体の身元確認を急ぐとともに、事故原因の究明を進めている。
機長の平岡勝3佐(46)ら6人が乗ったU125が消息を絶ったのは、6日午後2時35分ごろ。海上自衛隊鹿屋航空基地(鹿児島県鹿屋市)内にある戦術航法装置から電波が正常に発信されているか点検中だった。
東西方向に位置する同基地の滑走路に西側から低高度で進入し、その後高度を上げ、反時計回りで半径約11キロの円弧状に飛行している際に、同基地の北、高度約880メートルでレーダーから機影が消えた。
墜落現場は鹿児島県内の鹿屋市と垂水市にまたがる高隈山の御岳山頂付近で標高約900メートル。200~300メートルの広範囲にわたって破片が散乱していた。レーダーから消失した地点と墜落現場の距離は数百メートルで、高度と標高がほぼ同じことから、U125は水平飛行中に山肌に激突した可能性がある。
同基地周辺では高度約760メートル付近には薄い雲が、約1220メートル付近には厚い雲がかかっていたとみられる。同基地との最後の無線交信は機影消失の約4分前。機体の不具合などを伝える内容は含まれていないという。
空自はフライトレコーダーなどを回収。原因究明を急いでいる。
機長の平岡3佐は計約6千時間の飛行経験があるベテランで、2010~12年には、空自内でもエースと呼ばれる腕利きのパイロットが集まるアクロバット飛行チーム「ブルーインパルス」で勤務。リーダー機の「1番機」も操った。13年、空自入間基地(埼玉県狭山市)に所在する飛行点検隊に異動。新たな任務を通して、後進の育成に取り組んでいた。〔共同〕