世界遺産・五箇山合掌造り集落に近い富山県南砺市菅沼の国道156号で道路脇からの倒木で希少なスポーツカーが大破したのは、富山県の道路管理に瑕疵(かし)があったからだとして、車の所有者の男性=奈良県=らが、富山県に計約3925万円の損害賠償を求める訴訟を奈良地裁に起こした。提訴は7日付。
訴状などによると、車は1967年製造の「トヨタ2000GT」。男性は2014年3月、3500万円で購入した。事故は同年6月8日に発生。運転していた別の男性が軽傷を負い、車は大破した。
倒れたブナの大木は、内部は腐食のため空洞になっていた。事故前から地元住民が現場周辺の倒木対策を要望していたことなども指摘し、「道路管理者の予見可能性は十分にあった」として、車の代金や運転していた男性の治療費の賠償を求めた。
原告代理人によると、原告側は昨年11月、県が加入している道路賠償責任保険を活用した賠償を要望。県は今年1月、「道路管理者にとって予見することが出来ない不可抗力の事故だった」として拒否した。
県道路課は「訴状が届いていないので、コメントできない」としている。(江向彩也夏)