温泉街のある熊本県菊池市では、震度6強の地震があった16日未明、宿から逃げ出した宿泊客らが恐怖に震えた。
突き上げるような縦揺れと長い横揺れが繰り返された後、市内の菊池観光ホテルの前では、避難した数十人が集まった。アジア系外国人観光客の姿もあり、一様に困惑した表情だった。近くには毛布にくるまって道路に座り込む宿泊客の姿もあった。
市内の菊池グランドホテルには約70人の宿泊客がいた。地震後は送迎用のバスで一夜を明かしてもらい、疲れた様子の客に毛布や水を配った。安全を確保できないとの理由から、16日は宿泊客の受け入れを中止するという。
同ホテルでは大型連休までに100人以上のキャンセルが出ているといい、松野康支配人は「阿蘇や熊本城があんな状態で、菊池も自信を持って大丈夫とは言えない。いつ終息するか不安です」と話した。
市は16日午前1時半に市内全域に避難勧告を発令し、午前8時現在で約620人の市民が体育館などに身を寄せているが、車中に避難している人数などは把握できていないという。一時は市内全域の1万8千戸が停電。道路は落石や陥没のため10カ所以上で通行止めになったという。