計12部屋の邸宅、756万円から売り出します――。千葉市が10日、ネット上で公売を始めた市内の物件が話題だ。「建物内で殺人事件が発生」と告知し、相場の4分の1の最低価格を設定した。こうした「事故物件」とは、どう付き合っていくべきなのだろうか。
邸宅は、JR土気(とけ)駅の南側、千葉市緑区あすみが丘6丁目の閑静な住宅街にある。三角屋根にれんが風の壁。出窓やバルコニーに加え、屋根裏部屋があるのが分かる。長く誰も住んでいないとみられ、草木は伸び放題だ。滞納された市税の回収のため市が差し押さえて、ヤフーの「官公庁オークション」での売却に乗り出した。
オークションサイトによると、敷地面積約527平方メートル、延べ床面積約308平方メートルで、築約22年。見取り図では、吹き抜けがあって風呂とキッチンがそれぞれ二つある。サイトの写真では、洋服やベッド、冷蔵庫などが残されたままだ。地元不動産会社は「この地域なら相場は2980万円くらい」と話す。ところが、市は不動産の専門家に鑑定してもらった上で、応札できる最低金額「見積価格」を756万円に設定した。入札締め切りは17日午後1時だ。
安さには理由がある。県警によると、この家で2014年1月、男性が胸から血を流して死亡しているのが見つかった。サイトの詳細情報は「建物内で殺人事件が発生」「現況空き家です。事件後、人の出入りはあまりなかったようで、維持管理の状態は良くありません」と記載。市納税管理課は過去の競売の例などをもとに記載情報を検討した。担当者は「トラブルを回避したい」という。オークションの申込数は非公表。問い合わせの電話は1、2件あった。