カイロで20日、墜落したエジプト航空機の搭乗者の親族を慰めるイスラム教のモスク(礼拝所)の指導者(左)=AP
パリ発カイロ行きエジプト航空機の地中海墜落で、仏航空事故調査局は21日、同機が墜落する直前に、機内で煙を検知したとする警告を発信していたことを明らかにした。AP通信などが伝えた。エジプト軍やフランス、ギリシャ当局は、機体の残骸や乗客の捜索を続けている。墜落原因解明に向け、飛行状態などを記録したブラックボックス回収に全力を挙げる。
エジプト機不明、事故かテロか 横ぶれ急降下、消息絶つ
同調査局は、「煙が機内の複数箇所で検知されていた」としている。また、米CNNによると、警告は同機と管制との間で自動的に通信されるもので、墜落したとされる数分前に発信されていた。しかし、この警告が機内での爆発や火災が原因で発信されたかは、まだ不明という。
ギリシャ側で捜索活動にかかわるギリシャ航空機事故調査安全委員会委員で、2011年まで委員長を務めたアクリボス・ツォラキス氏は「火災は考えられる墜落原因の一つ。火災で電気系統が切断されれば、航空機が短時間のうちにコントロールを失ってもおかしくない。事故機が突然位置情報を送れなくなったこととも符合する」と語った。また、ブラックボックスの捜索について「現場付近の海域の海底は、ほとんど山脈のような地形で、困難な作業になるのは間違いない」と話した。捜索海域の水深は約2400~3千メートルとされる。
一方、エジプト軍などは捜索を続け、20日には同国北部アレクサンドリアの北方約290キロの海上で機体の残骸や乗客の所持品などを発見している。これまでのところ生存者は見つかっていない。ロイター通信によると、エジプト航空のモスレム会長は「半径40マイル(約65キロ)にわたって捜索している」と国営テレビに語った。(カイロ=高野裕介、イラクリオン〈ギリシャ南部クレタ島〉=喜田尚)