米軍の支援を受けるシリアの少数民族クルド系とアラブ系反政府勢力でつくる合同部隊「シリア民主軍」(SDF)は24日、過激派組織「イスラム国」(IS)が「首都」と称するシリア北部ラッカの制圧を目指し、同地北部から地上作戦を始めたと発表した。
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SDFは米軍の支援を受ける勢力で構成され、クルド系組織「民主統一党」の軍事部門「人民防衛隊」を主力とする。AFP通信やロイター通信によると、ラッカの約50~60キロ北西で、SDFとISの戦闘が始まっているという。同地域をSDFが制圧すれば、ISがトルコから武器や戦闘員を補給するルートを分断することになり、ISにとっては痛手となる。
米軍が主導する有志連合のウォーレン報道官は、有志連合が空爆でSDFを支援していると説明。米CNNによると、米中央軍のボテル司令官は21日、米軍特殊部隊を派遣するシリア北部を極秘訪問。今回の作戦について、SDF側と事前に協議したとみられる。
また、ロシアのラブロフ外相も24日、SDFによるラッカでのIS掃討作戦に協力する用意があると表明した。
一方、ISは軍事拠点をラッカの民間人居住地域に設置し、住民を「人間の盾」にしているとされる。市街地で戦闘が始まれば、多くの市民が犠牲になる恐れがある。(イスタンブール=春日芳晃)