広辞苑の「しまなみ海道」の説明。「周防大島を経由する」とある
10年ぶりに改訂して今月12日に発売された国語の辞書「広辞苑(こうじえん)」の第7版で、新たに収録された愛媛県と広島県をつなぐ「しまなみ海道」の説明が誤っていたことが分かった。実際は通らない山口県の「周防大島」(正式名「屋代島」)を経由すると記載した。発行元の岩波書店の担当者は「島を取り違えて記載してしまった。時期は未定だが重版で訂正したい」と説明している。
新広辞苑、「LGBT」の説明に誤り 岩波、修正を検討
広辞苑、10年ぶり改訂 「がっつり」「のりのり」追加
しまなみ海道は愛媛県今治市と広島県尾道市を結ぶ西瀬戸自動車道の通称。橋上を自転車で走れることから、「サイクリストの聖地」として近年は国内外から人気が高まっている。
広辞苑では「本州四国連絡道路のうち、尾道・今治を結ぶルートの通称。自動車道に歩行者・自転車専用道路を併設、因島・生口島・大三島・周防大島を経由する」と記載し、今治市の「大島」と山口県南東部にある「周防大島」を間違えて載せた。
同社によると、「しまなみ海道」は今回の改訂で追加された約1万項目のひとつで、「様々な地域で多くの人に活用されている」ことが追加された理由という。外部の書店員から指摘を受けて誤記が判明したという。担当者は「原因などを調べる」と話している。
第7版をめぐっては、性的少数者を意味する「LGBT」の説明に誤りがあることも判明している。同社によると、辞書の誤記は度々発生し、公開はせずに重版の際に手直しするのが通例という。担当者は「今回が特別に『相次いだ』ということではなく、たまたま指摘が重なったとみている」という。(直井政夫)