北朝鮮が中距離弾道ミサイルのムスダン(射程3千キロ以上)を発射したことを巡り、国連安全保障理事会(15カ国)は22日午後(日本時間23日午前)、緊急会合を開いた。議長国フランスによると、15カ国はミサイルへの強い懸念と反対に加え、過去の安保理決議に違反しているとの認識で一致。報道声明を出す方向で調整を続ける。
北朝鮮ミサイル、高度1千キロ到達 日本「深刻な懸念」
会合は安保理メンバー国の日米に韓国を加えた計3カ国が要請。米国のパワー国連大使は記者団に、北朝鮮が3月以降、10発の弾道ミサイルを発射したと指摘し、「北朝鮮は何かを学び、進歩させている」と強調。「激しい非難」に値する行為との立場を示した。
一方、朝鮮中央通信は23日、金正恩(キムジョンウン)・朝鮮労働党委員長が現地を視察したと伝えた。北朝鮮はミサイルの飛距離を意図的に短くしたとし、試射は成功だったと主張。正恩氏は「核攻撃能力を更に強化する重要な契機になった」と語ったという。
同通信によると、ムスダンは正恩氏が現地で試射を命じ、高度1413・6キロまで上昇、約400キロ離れた目標水域に正確に着水したという。この試射で、エンジンや飛行安定性、大気圏再突入時の耐熱性などが検証されたと主張した。
正恩氏は「太平洋作戦地帯内の米国のやつらを、全面的、現実的に攻撃できる確実な能力を持った」と主張。「先制核攻撃能力を引き続き拡大強化し、多様な戦略攻撃兵器を研究開発し続けるべきだ」とも語った。(ニューヨーク=金成隆一、ソウル=牧野愛博)