昨年の世界選手権で優勝した松本薫。カザフスタン・アスタナには両親も応援に来ていた
柔道女子57キロ級で五輪2連覇を目指す松本薫(28)=ベネシード=は戦う意義が明確だ。「私が柔道を続けているのは両親がいるから。2人がいなかったらやめている」。きっぱりとそう言い切る。
特集:リオオリンピック2016
負けず嫌い・考える癖・型破り…母親が語るオリンピアン
日本三大庭園の一つ、兼六園(金沢市)の近くで育った。5人きょうだいの4番目。片時もじっとしていられない子で、「とにかく外が好きでした」。家の前の坂道を全力で往復したり、木に登ってセミのまねをしたり。家の屋根の上は弟との遊び場だった。
柔道を始めたのは6歳。両親に経験はなかったが、一番上の兄を鍛えようと道場に通わせたのを機に5人全員を連れて行った。共働きで5人の子を養った両親は、「自分たちはいい。練習で疲れた子供たちには、しっかりしたものを食べさせよう」と決めていた。
調理師の父賢二さん(63)は「特別なしつけはしていない。母親を大事にせえよ、と言ったくらい。勝手に育ちました」と照れ笑いする。だが必死で働き、育ててくれた両親の後ろ姿は、戦う娘の生きる芯だ。「私は両親をすごく尊敬している。2人のようになりたい」
ロンドン五輪で日本選手第1号…